「待ちなさい。朔って誰なの」

「へ!?」


朔って誰って。お母さん、真面目な顔して何言ってるの。


「誰って、決まってるじゃない、朔だよ。私の双子の兄。お母さんの大事な長男でしょ?」

「は? 私男の子なんて産んだ覚えないけど」


お母さんの顔がふざけているようには見えなくて、余計に胸騒ぎが大きくなる。


「はは、どうしたんだよ瑠奈。うちの子はお前だけじゃないか」


お父さんがソファに座ったまま笑う。二人とも何言ってるの。みんなでグルになって、私をからかおうとしてるの?

それにしては大掛かりすぎる。そんなことでベッドやテレビまで撤去するはずがない。

とにかくこのままじゃらちが開かない。階段を駆け上がり、物置になっている朔の部屋に戻る。電気を点け、アルバムを探す。

赤ちゃんの時から七五三、入学式に卒業式、たくさんの写真があったはず。特に七五三なんて、特別に写真館で作ったアルバムがあったはずだ。三回とも、二人で着物を着て並んで撮った。ドレスとタキシードの写真もあって小さな結婚式みたいだと、お母さんはよく言っていた。

アルバムをまとめて入れてある収納ケースを見つけ、蓋を開ける。中のアルバムを見て、息が止まりそうになった。