高校の私服遠足のために
友達と服を買いに行ったなんて言うと
まぁ、なんとも聞こえがいいもんだが
実際は、いかに失点を出さない服装選びをするかということに、
最重要課題がおかれている。
プラスではなく、マイナスを出さない。
これ大事。
その点では、私と紗里奈は
ぬかりなくお互いにチェックしながら
今日の服を選んでいるから、
安心できる。
鏡の前に立って、髪をとく。
忘れ物はない、時間も大丈夫。
昨日はちゃんと早めに寝たし、
お姉ちゃんのお高い洗顔クリームを勝手に使って
顔も洗ったし、トリートメントもした。パックだって。
顔の作りが変わらないのは仕方ないけど
これなら大丈夫。失点はない。
「いってきます!」
いざ、出陣!
集合場所の、最寄り駅へ!!
こういう時は、時間より少し早めに出た方がいい。
遅刻に焦って、髪型や服装が乱れることもさることながら
到着してからの、最終点検の時間もほしいし、
なにより、あの人をがっかりさせたくない。
とにかく、マイナスを作りたくない。
そう思って、1本早めに乗った電車で到着した駅には
もう高梨愛美がいた。
「あー、おはよう。横山さん、早かったね」
お前に言われる筋合いはない。
「やだー、横山さんの私服、かわいー」
「えー、高梨さんも、かわいいよ」
とりあえず、ここは互いに誉め合って正解。
「ほんと? よかったぁ」
いつも見慣れている制服から、
私服姿になると、なぜか幼く見える。
「みんな、もうすぐ来るかな?」
高梨愛美の、いつもの威圧感も
今日はそれほど感じない。
「あー、来た来た」
「お前ら、早かったな」
一樹と、愛美の親友のきらら、
そして紗里奈が同時に現れた。
少し遅れて、あの人も。
「おー」
あぁ、よかった。
やっぱりイケメンだ。
そしてなぜか、朝一で私の隣に立つ。
こんな至近距離に立たれると
自分の服とか、髪の方が気になって
身心によろしくない。
「よかったね、天気よくてー」
「だよなー」
そのまま一樹やきららたちとの会話が始まって
いつもは聞き耳をたてて必死で聞き取っている会話が
今日はまるっと全部だだ聞こえ。
しかも、その輪に入ることが要求されている。
「あはは、本当だね」
ここはもう、笑っておくしかない。
こんな気の使う会話なんて、無理。
みんなが楽しければ、私も楽しい、
それでいい。
学校の制服が、平常なら
今日の私服遠足は、戦闘服。
だけど、大希くんの気軽さと、何気ない会話が、
徐々に緊張をほぐしていく。
私服だと、それだけで気さくに見える。
選ぶときは、あんなに必死だったのにな。
この朝の何気ない会話のなかで
この人が笑っているから
それを見られただけでも
充分幸せ
松永くんと酒井くんもすぐに合流して、
私たちは水族館へと向かった。
友達と服を買いに行ったなんて言うと
まぁ、なんとも聞こえがいいもんだが
実際は、いかに失点を出さない服装選びをするかということに、
最重要課題がおかれている。
プラスではなく、マイナスを出さない。
これ大事。
その点では、私と紗里奈は
ぬかりなくお互いにチェックしながら
今日の服を選んでいるから、
安心できる。
鏡の前に立って、髪をとく。
忘れ物はない、時間も大丈夫。
昨日はちゃんと早めに寝たし、
お姉ちゃんのお高い洗顔クリームを勝手に使って
顔も洗ったし、トリートメントもした。パックだって。
顔の作りが変わらないのは仕方ないけど
これなら大丈夫。失点はない。
「いってきます!」
いざ、出陣!
集合場所の、最寄り駅へ!!
こういう時は、時間より少し早めに出た方がいい。
遅刻に焦って、髪型や服装が乱れることもさることながら
到着してからの、最終点検の時間もほしいし、
なにより、あの人をがっかりさせたくない。
とにかく、マイナスを作りたくない。
そう思って、1本早めに乗った電車で到着した駅には
もう高梨愛美がいた。
「あー、おはよう。横山さん、早かったね」
お前に言われる筋合いはない。
「やだー、横山さんの私服、かわいー」
「えー、高梨さんも、かわいいよ」
とりあえず、ここは互いに誉め合って正解。
「ほんと? よかったぁ」
いつも見慣れている制服から、
私服姿になると、なぜか幼く見える。
「みんな、もうすぐ来るかな?」
高梨愛美の、いつもの威圧感も
今日はそれほど感じない。
「あー、来た来た」
「お前ら、早かったな」
一樹と、愛美の親友のきらら、
そして紗里奈が同時に現れた。
少し遅れて、あの人も。
「おー」
あぁ、よかった。
やっぱりイケメンだ。
そしてなぜか、朝一で私の隣に立つ。
こんな至近距離に立たれると
自分の服とか、髪の方が気になって
身心によろしくない。
「よかったね、天気よくてー」
「だよなー」
そのまま一樹やきららたちとの会話が始まって
いつもは聞き耳をたてて必死で聞き取っている会話が
今日はまるっと全部だだ聞こえ。
しかも、その輪に入ることが要求されている。
「あはは、本当だね」
ここはもう、笑っておくしかない。
こんな気の使う会話なんて、無理。
みんなが楽しければ、私も楽しい、
それでいい。
学校の制服が、平常なら
今日の私服遠足は、戦闘服。
だけど、大希くんの気軽さと、何気ない会話が、
徐々に緊張をほぐしていく。
私服だと、それだけで気さくに見える。
選ぶときは、あんなに必死だったのにな。
この朝の何気ない会話のなかで
この人が笑っているから
それを見られただけでも
充分幸せ
松永くんと酒井くんもすぐに合流して、
私たちは水族館へと向かった。