だけど、これは上司から任されようとしている大切な仕事なのだから、個人的な事情で断れるはずなんかなくて。


むしろ、“一生懸命に仕事をする”と決めた以上、断るという事自体が有り得なかった私の返事は、たった一つしかなかった。



「もちろん、やらせていただきます。」


そう言って、私は教室長と椎名先生に向かって頭を下げた。



「どうもありがとう。」

「申し訳ないけれど、宜しくお願いします。」


そう言って、教室長と椎名先生の2人共が、テーブル越しの私に向かって頭を下げる姿を見て、


「いえ、とんでもないです。環境にも学校にも馴染むのが一番早いでしょうから、私が行きます。気にしないで下さい。」


私はそう言いながら、何度も手を左右にパタパタと振った。



「それで来週中に、一度挨拶に伺う事にしているから、その時には河原先生にも同行してもらうからね。」


そんな教室長の一言にまたもやドキドキしながらも、必死に冷静を装っていた私は、


「分かりました。宜しくお願いします。」

と、静かに微笑み返して頭を下げた。



『来週、相葉先生に会うんだ…。』



きっと訪れることは無いと思っていた再会の日。


その日がやってきた事に、私の心の動揺はいつまでも治まらずにいた。