「う…わぁーっ…ごめんなさい…ごめんなさい…っ」


私は氷のような雪に手を埋めたまま声を上げて泣いた。


誰もいない冬の海岸で泣き叫んだ。



自分がしようとしていた事の愚かさを感じ、


両親にも友達にも、


今日が良き日となる相葉先生にも…


全ての人に申し訳なく思った。



「ごめんなさい…ごめんなさい…っ」


何度も、何度も、謝罪の言葉を繰り返して泣き続け、



そして、



「…さよ…なら…さようなら…っ」


涙で霞む海を見つめながら、私はもう一度別れの言葉を口にした。



この日、幸せな結婚をした相葉先生への想いと、


日々、死ぬ事しか考えられなかった弱い自分との決別。


そんな事への別れの言葉だった。



この時、どんなに辛くても絶対に乗り越えてみせるという事を心に決めた。