校長先生や来賓の方の挨拶が終わり、


出迎えられた時以上の拍手と涙の中で、私達はまた教室に向かって歩き出した。



戻る時は入場した時と違って、私も泣きながら歩いていたけれど、


そんな状態でもキョロキョロと相葉先生の姿を探していた。


チラリと、体育館の出入り口から少し離れた場所に視線の先を移した時、




『え…っ?』



そこで相葉先生の姿をみつけて、私は目を疑った。





相葉先生が身に着けていたネクタイが、


私がプレゼントしたものだったから―…




今までもこれからも、きっと着けてもらえないんだって諦めていた。


気に入ってもらえなかったんだって、思ってた。




だからこそ嬉しくて…



すごく、すごく、嬉しくて…



嬉しかったけれど、



それ以上に胸がキュウッと締め付けられるような、



切なさに近い、温かな胸の痛みを感じて、



私は余計に泣けていた。




『…相葉先生…。』




ギリギリまで相葉先生の姿を目に焼き付けておきたかったのに、


その姿は涙で歪んで、ぼやけていく。



相葉先生、あなたはあの時、どんな表情で私達を見送っていたのかな―…?