「さくちゃん、元気?」

「あ、知ちゃん!」


私が“知ちゃん”と呼んだ相手は、中学の頃から仲良しだった沢口知美。


運良く高校1年生の時は同じクラスになって、中学の頃のように常に一緒に行動していたけれど、

2年生に入ってからはクラスが離れてしまった事がきっかけで、前のようにつるむ事がなくなった。


そんな知ちゃんも進学組で、ハードな部活をこなしながら進学の為の勉強もする、本当に努力家の女の子だ。


知ちゃんとは時々、お互いのクラスに遊びに行った時とか、廊下ですれ違った時に話をする事があった。


しかも知ちゃんは、私が3年生になってから『入りたい』と思った硬式テニス部に入学した頃から入っている。


私が相葉先生に恋をしている事を知っている、数少ない友人の一人でもあった。


「知ちゃん、移動クラスなの?」

「そうなのー!遠いから面倒臭くて。またね!」


そう言って手を振りながら、知ちゃんは数人の友達と一緒に去って行った。