「…え…？」


次にめくった年賀状には、


“手袋ありがとう。重宝してます。”

という、メッセージが書かれていた。


『もしかして…！』


そう思って慌てて送り主を見てみると、会いたくて、会いたくて仕方がない、相葉先生からの年賀状だった。


私はそのハガキを他の誰から送られてきたものよりも、ずっと長く見つめていた。


一般的に、先生は送ってきた生徒にだけ送り返しているようなイメージがあったから、まさか相葉先生から元旦に送られてくるなんて思ってもいなかったんだ。


最初から送るつもりで年賀状を準備してくれてたんだなぁって感じた。


ハガキを見つめている内に、今まで感じていた寂しさが、一気に温かくて幸せな気持ちに変わっていくのが自分でも分かった。


本当に、胸に広がっていく温かさを感じていたんだ。



「さく、早く支度してね！」


のんびりと年賀状を見ている私を、支度が終わるのを待っている母がせかす。


「うん、分かったよ！」


私は急いで２階にある自分の部屋に駆け上がると、机の中に大切にその年賀状をしまいこんだ。


『早く先生に会いたい…。』

そう、心の中で何度も繰り返しながら。