気付けば周りはクリスマスの華やかな雰囲気に浮かれ気味で、


「もうすぐクリスマスだし、冬休みにもなるし、楽しみがいっぱいだなぁ。」

なんて、瑞穂が嬉しそうに話していたり、


「そうだねぇ。クリスマス、何あげようかなぁ。」

と、彼氏がいる梢もとても楽しみにしていた。


瑞穂と梢だけではなく、クラスの中の殆どがクリスマスと冬休みを心待ちにしている事がよく分かる。


私も先生に恋をする前まではそうだった。


けれど“冬休み”とか長い休みになればなるほど、以前のように楽しみではなくなっていた。


何故なら、冬休みの間は相葉先生に会えない時間が増えるだけで、学校で勉強している方がよっぽど先生に会えるし話だって出来る。


それにクリスマスは、


『相葉先生は大崎先生と過ごすのかな。』


そう思うだけでとても悲しい気持ちになった。



梢は「彼氏に何をあげようか」と、瑞穂と一緒に雑誌を見ながら色々と考えているようだ。


本当はクリスマスプレゼントも渡せたらいいのかもしれないけれど、ただの片想いの私の場合は、物ばかり渡すのもどうかと思っていた。


気を遣わせるだけかもしれない。


本当だったらこういう時にプレゼントを渡しつつ、告白をしたりするんだろうけれど、今回は言わないでおこうと思ってる。


あんまり言い過ぎると嫌われそうだと思ったからだ。


そんな事を心の中で思いながら、一日一日が過ぎていく。


終業式が近づくにつれ、相葉先生の授業がかけがえのない時間に思えた。