百合 涼(ゆり すずか)。17歳。高2。
髪の色は金髪に赤メッシュ。
耳には大量のピアス。
そして、派手な服装。
傍から見ればいわゆる不良と呼ばれる部類に入る。
私はそうは思ってないのだけれど。
ちょっと他人より髪の色が違くて、ちょっと派手な服を着てて、ちょっと多めにピアスつけてるだけ。性格はほんとにクソマ・ジ・メ、なんだけどなぁ.....。外見(そとみ)からの印象って凄いのね。。
まぁ何でこんな容姿なのかってゆう理由は大したもんじゃないけどあるんだ。

とりあえず暇だから話すかー、私の身の上話。




私は昔から「個性」というものに敏感で、他人と同じ服とか髪型とか、いわゆる流行に乗るのがすごい嫌いだった。だって、他人と同じカッコなんて個性がないじゃん、そんなんダサすぎっしょ?

髪の毛染め出したのと化粧をしはじめたのは中学の時からだったかなぁ。
ピアスは赤ちゃんの時から開いてた。
その時は両耳に1個ずつ。
何故かはまた別の機会に話すね。
あ、ちなみにピアス増やし始めたのも中学上がってからです。ものすごい勢いで開けてたなぁあの頃は.....。

コホン、えーっと、どこまで話した?
あーそう中学ね。
中学っていえば制服じゃん?あれは嫌だったねぇまじで。
でも指定されてるもんは着ないとなって思ってちゃんと着てたよ。
でも、派手すぎる見た目から目をつけられることも多くて、中学ん時はよく呼び出されてた。先輩、同級生からはほんとに毎日ってくらい呼び出されたよね。他校の生徒に呼び出された時はさすがに「いやお前誰だよ。」ってなったよね。
まぁ、基本的にめんどくさい事は嫌いなのでオール無視でいきたかったけど、現実はそう甘くなかった、、、

「お前気に入らねぇんだよ!!!」

「へー。」

「舐めたカッコして学校来やがってよ!!1年の癖に!!!」

「あー、さーせん。」

「母親が芸能人だからって調子乗ってんのか!!??」

「いや、うちのおかーさん芸能人じゃなくて料理研究家だし。てか、調子は乗ってないです全然。」

「口答えしてんじゃねぇよ!!」

「いやいや質問してきたのテメェじゃんw」

「てめぇ!!!!!!」

ってな感じなのは日常茶飯事でした。懐かしい。ほんとに私悪くないのに喧嘩に明け暮れる日々だったなぁ.....。
ちなみに私は小さい頃から空手習ってて中学の時点で既に師範の資格とったからそれなりに強くてさ。
喧嘩なんて負けたことがない上にこの見た目じゃん?
ご近所さんからは「百合さんちの娘さんは、、、」なんてヒソヒソ言われる事なんてしょっちゅうよ。うん。
てかヒソヒソ話じゃないねそれ。
聞こえてっから。

まぁそんなこんなで小さい頃から個性あるカッコ(+性格?)してたよね。
おかーさんが理解ある人でよかったー。
なんも言われた事ないし、「あなたが真面目なのは知ってるから!!」ってさ。
あ、そーなんすね、ありがとうございます。

てことではい、これで理由おしまい。

え?「ホントに大した理由じゃない。」って?
いや、最初に大した理由じゃないって私言ったじゃん。何勝手に期待してんのうざー。

おっと、コホンコホン。失礼。
私沸点割と低めなの。キレやすいから気をつけて。

なんて回想を頭でしながら学校に行く道をたらたら歩く。
あ、そうだコンビニ寄らんと。新作の「甘いの?辛いの?どっちなのー!?ポテトチップス」のミステリー味出てるんだった。買わんといけない。
ミステリー味ってどんなんかね(((^-^)))ワクワク
やっばーちょー楽しみ。テンアゲ。





ここで「.....はっ?」となった方に説明しよう。
「甘いの?辛いの?どっちなのー!?ポテトチップス」とは、通称「甘辛ポテチ」と言われているもので、なんか略しちゃうとちょっと普通に美味しそうに見えちゃうポテチの名前だけど、まぁまとめると、甘かったり辛かったりするポテチのことである。つまり甘さと辛さが1袋で味わえる画期的な(?)ポテチである。
昔は割と真面目な味出してたよ。塩キャラメル味だとかさー。何かいつの間にか血迷ったのか明太チーズもんじゃ&チョコレートボンボン味とかになってた。

や、普通に不味いよ?
私だって味覚は多分他の人と同じくらいの発達してるから。
てかそれ以上かも。
だっておかーさん料理研究家だし。
最近はテレビの撮影とかで忙しくてほとんど家にいないけど、小さい頃はめちゃくちゃ美味しいご飯作ってくれてたし。
なぜに甘辛ポテチを買い始めたかってゆうと、いっつもコンビニとかの棚にたくさんの量残ってたから。
誰も買わなくて売れ残ってるくせに毎回新しい味出しててさ、その努力なのかなんか意地なのかよく分かんない心意気を買った。だから毎回新商品が出る時は買ってる。普通にぱくぱく食べれるくらいには私の味覚も壊れてきたのかもしれない。まぁ、変な味・変な組み合わせが好きなだけなんだけどね、多分。





あれ?こんな所に新しくコンビニ出来てる。ナイスじゃん。ポテチここで買ってくかな。

チャラチャラチャラーラチャラチャララー(ファ〇マ的入店音)

「いらっしゃーい」

な、なんか黒いワイシャツに紫のネクタイに丸メガネの店員さんて違和感でしかない。
カッコも顔もカッコイイけど。コンビニ感がねーなw

適当にペコッと頭下げてお菓子コーナーに行く。

おっ、あったあった。甘辛ポテチミステリー味。テンアゲ。
それを持って店内をまわってみる。初めて来た店だしなんか他に買ってこーかなぁー。

.....ん?店長オススメコーナー??
何それ、気になるじゃん。
どれどれ見てくか。

なになに、「激辛ハバネロソースパスタ〜ストロベリー&チョコレートソースがけ〜」、「納豆アンコたい焼き」、「抹茶ラテ・煮干風味」etc..........




おいおい、私の好みどストライクじゃねーーか!!!!!




「そちらの商品気になります??」

「へぁ??!!」

いつの間にか後ろに店員さん立ってた。
び、ビビったァ.....

「こちらの商品僕の自信作なんですけど、どちらかお一ついかがですか??」

「え!そーなんすか!!?てことは、店長さん??」

「あ、はい。店長さんです。」

「あ、ソーナンスネ。いやぁ、どれも好みすぎて全部買いたい感じ。」

「え!!ホントですか!?」

「でも、お金がなぁ.....。こないだバイトクビになっちゃったばっかりで無いんすよ(TT)」

うわー、まじで欲しい.....。
なんであの時客と店長殴っちゃったんだろ(TT)

「あら、そうなんですか。じゃあここでバイトとかどうです??」

「え!まじすか!?でも、アレですよ私。この髪色とか戻す気ないすよ?」

「え、全然いいですよ。むしろいいじゃないですか、個性的で。」

「え!?ピアスもとる気とか全然無いですよ!??」

「構いませんよ。それにピアスなら僕もだし。」

そう言って髪の毛に隠れてた耳を私に見せる。

うわー、トラガスとインダストリアルとかカッケー。拡張もしてるけど全然不衛生な感じじゃなくて、なんかおしゃれ。

「うわカッケー。トラガスとか開けたいんすけどなかなか自分じゃ出来なくて.....。」

「じゃあ、ここで働いてくれるなら僕が開けてあげようか?お礼に。」

「え!まじっすか??」

「うん。それにここ新店だからスタッフ僕だけだし、働いてくれると嬉しい。給料もオープンスタッフっていう扱いになるからほかの店よりもいいと思うよ。あと.....」

「あ、あと?」

「この店長オススメ商品僕が作ってるから試食も廃棄も全部持ち帰っていいし。」

!!!!!!!

「働きます!!」

「ほんと?!うわ、ありがとう。とりあえずそれお会計しよっか。抹茶ラテくらいならサービスであげるよ。」

「ホントですか!?かみさまー。」

トコトコと、2人でレジに向かう。

「はい、甘辛ポテチね。100円です。」

「はい、じゃあ丁度で。」

「うん、ありがとうございます。抹茶ラテ一緒に袋に入れとくね。」

「あざす!!!」

「じゃあ面接とかはめんどくさいから無しでいいや。書類の処理とかあるから、申し訳ないけど履歴書だけ持ってきてもらってもいい?個人情報のとこだけ書いてきてくれればいいから。」

「あ、いいんすか?了解です。」

「あ!あと、とりあえず今名前と電話番号だけ聞いていい?」

「はい!百合 涼です。ケー番は080-✕✕○-○○✕です!」

「ん、おっけー?ちなみに君学校には通ってる?」

「あ、はい。そこの赤沢高校の1年です。」

「時間やばくない??」

「.....( ゚д゚)ハッ!、ほんとだ!」

「これ、僕のケータイ番号。登録してまた学校ついたらLINEして。詳しいこと話すから。」

「おっけーです!ありがとうございます!」

「はーい、気をつけてねーいってらっしゃーい。」

「いってきまーす!」

そう言って店を出た。

甘辛ポテチ買えたわ、抹茶ラテ貰えたわ、更にバイトも見つかったわで、もうなんていい日なんだ!!!テンアゲなんですけど!!

そう思いながらダッシュで学校まで行った。
案の定遅刻だけど、先生には睨まれただけで何も言われなかった。反射で睨み返しちゃったからかなぁ.....。

席につきケータイを出す。
ちなみに授業はいつも聞かないスタイル。教科書見れば分かるし、先生の授業分かりにくいから聞く意味無いし。

店長のケータイ番号を登録してLINEを開く。
すると友達かものところに、「菫 健(すみれ たける)」と出てきたから登録した。
アイコンが甘辛ポテチだったから秒で店長だって分かった。




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すず: ども、涼です。登録しました!

菫 健: あ、ありがとう。学校何時に終わる?

すず: そーっすね、基本は16:30です。まぁでも私が帰りたい時間に学校は終わりますかね!!

菫 健: .....そっか。了解です。とりあえず授業はちゃんと受けようね。じゃあ学校終わったらまた店に来てよ。バックで履歴書書いていいからさ。

すず: いいんすか!?

菫 健: うん、全然いいよ。履歴書もあげる。たくさん余ってたから。

すず: ありがとうございます!それじゃあ放課後行きますね!

菫 健: うん。じゃあ授業頑張って。

すず: うぃっす!

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と、LINEを終え抹茶ラテをカバンから取り出す。
ストローを刺して飲んでみる。

芳醇な抹茶の香りとコクのあるミルクの味を煮干の風味が相殺してダメにしてる感じ。

なにこれ、たまんねー!癖になる!

ひそかに「これはリピートだな.....」と思いながら、じっくり味わう。
あぁ.....これ1リットルのパックとかで出ないかなぁ.....。
なんて考えたりもして全てを飲み終え、空になったカップをゴミ箱に投げて入れる。ナイッシュー、私。





ちらっと黒板を見るとどうやら数学をやっているようだ。あーあ、また分かりづらい説明しちゃってさ、馬鹿だなぁ。
と、ぼんやりと思いながら耳にイヤホンをさして机に伏せる。そして音楽を聴きながら眠りの世界へ旅立つ私であった.....。




続く