朝礼が終わり、早々と外出に出掛ける先輩。


「圭行ってくる。」

「杏、凱人に振り回されない様にね。」

「はい。大丈夫です…行って来ます。」


もう 振り回されるのは慣れているから…

「ほら車に乗るから 地下に行くぞ。」

もう何度も毎日乗っている、先輩に言わせると私指定の助手席。あと何回乗れるんだろう?


「どうした?最近考え事ばかりだな?」

「今日は何処に行くのかな?と思いまして…。」

「買い物…パリで生活するのに必要な物を買う。杏も選べ…」

「先輩の今住んでいるマンションはどうするんですか?」

「あれは、そのまま置いておく。帰って来た時に また住むからな。」

「え?それだと賃貸料勿体ないじゃないですか?」

「いや、あれは俺のだから問題ない。」


まさか…買ったの?セレブだったっけ?


「お前が使えばいい。」


いやいや、それは流石に出来ないでしょう。
私は全く持って先輩とカテゴリー的には他人の何ものでもないし、そこまで甘える訳にもいかない。


「先輩はバカなの?」


///しまった…脳内会話が漏れて焦る。


「俺 真面目に言ってんだよ。杏ならずっと使ってていいぞ。」

はいサラリと甘い言葉。これ無視だ…スルーして聞かなかった事にする。


「買い物って何処に行くのかなぁ?」


独り言を言ってさっきの会話をうやむやにする作戦で乗り切った。乗り切れたのか?どうかは、考える事すら面倒で 頭の中から消去した…