慌てたように窓に駆け寄って下を覗き込む。

そしてまた呆然とした。




「自転車が飛んだ、だと………?」


ペシャンコになって下に落ちた様子もなく、空飛ぶ自転車に乗り魔王は一人出発していた。


しかし、それもグングン___いや、マッハで遠ざかる木村くん。




「いや、あり得ねーだろっ!」

一人突っ込み、石川くんがこちらに振り返った。




「おい、お前ら。俺にもアレ持ってこいっ!」


石川くんの珍しく乱暴な叫びに、迷が全く場にそぐわない声でのんびりと言う。





「同じじゃないけど、あるよー」