「……おい、俺の話聞いてたか?」
「石川の言いたいことは分かったんだけど、先延ばしにして人間の国の人を不安にさせるのは、なんかアレじゃん?」
「ふんっ。あんな奴ら不安にさせとけばいいんだよ」
「うん。でも、そんな奴らのために石川は俺を倒しに来たんだろ?」
それにぐうの音も出ない石川くん。
「偉いな、石川」
「偉いって………こんなところ、来たくて来たんじゃねーよ」
「うん、俺も同じだから」
そう言って木村くんは強くペダルを踏んだのだ。
その瞬間木村くんの自転車は浮いて、スッと開いた窓を通り抜けた。
「は?」
驚きのあまり石川くんはそれを数秒呆けた顔で見つめていたが、すんで我に返る。
「木村、お前自殺する気かっ………!」