「仁華も、黒にするの?」


「うん。・・・・・・・もう、声ちゃんと出るし、今はなんか怖いものは何も無いって感じなの。だから、大丈夫かなって。」


「そっか。じゃあ俺の行きつけの美容室があるから明日行くか。」


「うん。行く!」


そんなことを話しているうちに家に着いた。


庭ではおばあちゃんが花に水をやっていた。


すると律希は私をそっと地面に下ろして耳元で話した。


「声出ること、びっくりさせてやれ。」


私は律希と作戦を立てた。


何事もなく、普通にただいまと言って家の中に入るというシンプルな作戦だけど、おばあちゃんびっくりするかな?


「じゃあ、行くぞ?」


「うん!」


先に律希が私の前を歩く。


そしておばあちゃんに向かって、


「ただいまー。」


と言って中に入っていく。


続けて私も、


「ただいまー。」


と言って中に入った。


「あら?2人ともおかえりーー・・・・・え?い、ま、・・・・・仁華?」


「おばあちゃん、ただいま。」


笑顔でそう言うとおばあちゃんは手で口を覆った。


「っ、仁華!あんた、どうしたの!?急に、びっくりするじゃない!!」