次の朝、目が覚めてリビングに降りて行く。


「あっ、仁華おはよう。ご飯もう少しで出来るからね。」


おばあちゃんの声に私は頷く。


ふと、テレビに目をやるとたくさんの評論家や教授が話し合っていた。


あっ!


その中に下村直己の姿。


私はテレビに近づいてみる。


「今回は子供の教育についてです。いやー、下村さん。息子さんが有名な学校に通っているようですが、親としても鼻が高いですか?」


「いやー、まぁそうですね。有名なところに行くのが当たり前ですよ。私の息子なんですから。」


「自分と同じように活躍して欲しいですか?」


「そうですね。多少、息子に未来を選べさせなくしても有名になって欲しいと思いますよ。それが、私の願いでもありますしね。」


未来を、選べさせなくしても?


律希の言葉と重なった。


俺は未来を選べないんだ。


やっぱり、この人は父親なんだ。


ふと後ろを振り返ると同じようにテレビを見ているおばあちゃん。


私は何か知ってるかもと思っておばあちゃんに紙を見せながら書いた。