「お前・・・・やることが早いな。」


「あら?それはどうかしら?あなたと同じだと思うけど。」


突然聞こえた声に俺とお父さんは後ろを向く。


そこには買いもの袋を持ったお母さん。


いつもはなかなか話さなくて、大人しいのに急に会話に入ってきたからびっくりした。


「お母さん、いつ帰ってきたの?」


「んーーー。惚れた女はどうたらこうたら言ってた時くらいかなー?」


お父さんは1人ぶつぶつ独り言を言いながら頭を抱えた。


お母さんは袋から取り出して片付けながらこっちに話しかける。


「やることが早いのはあなたと同じなんじゃないのー?まさか、自分のことは置いといて息子にそんなこと言うなんてねー?」


お母さんが勝ち誇った顔でお父さんを見る。


俺は何がなんだか分からなくて二人の顔をチラチラ見る。


「えぇーーと、どういうこと?」


「お父さんの昔話よ。お父さん昔、私のことをナンパしたのよ。」


お母さんが言うと、お父さんか「あぁーー。言っちゃったーー。」と言ってまた下を向く。


「お父さんがナンパ?そんなん無理だよ。」


「それが昔はこんなんじゃなくてもっとチャラかったわ。ね?お父さん?髪は茶髪でネックレスはチャラチャラ。」


今のお父さんからは想像も出来ない。