「だって、お前は仁華ちゃんに助けてもらっただろう。それなら、同じくらいのことをして返せよ。・・・・・まぁ、それがどんな形になるかは知らないけどな。」


「つまり、仁華にとってピンチになった時だけ、助けろってこと?」



「簡単に言えばそうだな。」


お父さんはそう言って俺の隣に来た。


「これは大人として言うんじゃないから、ちゃんと聞いとけよ?」


大人として言うんじゃない?


俺はよく分かんなかったけど頷いた。


「律希。・・・・惚れた女は何があっても、助けろ。」


は?


この人本当に俺のお父さん?


こんなこと言ったの聞いたことないけど。


俺はびっくりして言葉を失う。


お父さんはそんな俺を見て笑った。


っていうか、惚れた女?


「・・・・・お父さん。・・・・・・・もしかして、俺が仁華を好きって気づいてたの?」


そう言うと声を出して笑い出した。


「とっくに前から分かってるよ。ただ、お前がそれが恋だと気づいてないみたいだから深入りはしなかったけど。でも、もう気づいたみたいだしな。」


「あぁーー・・・・えぇーー・・・・」


「ん?なんだ?」


「実は・・・・・もう、付き合ってる。」


今度はお父さんが言葉を失う番。


俺を見てお父さんが固まった。