「やった」


伸二くんに背中を向けて着替え、さっきしまった服を出した。


「はい」


伸二くんは上半身だけ起こし、私の差し出した洋服を受け取った。


見ようとしてなくても、伸二くんの裸が視界に入ってくる。


服を着ている時にはわからない、男らしい骨っぽさと線の太さにクラッとした。


もう、荒井さんには、戻れない。


伸二くんとつきあうんだ、ってもう一人の自分が冷たい目で私をにらんでいる気がした。


「花音さん、何か飲んでいい?」


「あっごめん、気づかなくて。


アルコールとソフトドリンク、どっちがいい?」


「ごめん、アルコールじゃないなら何でも」


「オッケー」


伸二くんにミネラルウォーターのペットボトルを渡し、私は缶ビールを開けた。