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ほんの少しの可能性だって、俺は諦めたくなかった。


瑠菜を守るという目的たから少しズレてはいるものの、ミホコを救出することで瑠菜を助ける手段を得ることにもつながるんだ。


目の前はとても明るかった。


俺たち2人は伸紀の自転車に二人乗りをして屋敷へと向かった。


さすがに丘の上まで上がる時はしんどくて、俺が伸紀の自転車を押してあがった。


「すげぇな」


屋敷の前までやってきた時、伸紀がそう呟いた。


俺も、何度来ても馴れない大きさだ。


ここから街を見下ろすと、まるで街の人々を見下しているような感覚になる。


村山はどんな気持ちでこの屋敷に暮らしているんだろう。


ここへ来るのが2度目の俺は迷わずにチャイムを押した。


今日は制服姿だけれど、俺の顔を覚えていれば入れてくれるはずだと思っていた。


案の定、少し時間を置いて門が左右に開いていく。


驚いている伸紀と共に、俺は屋敷内へと足を踏み入れたのだった。