あれから、なんどかデートをしても、彼は旅館に通ってくれた。

ある時、女将さんに呼ばれた。

「今は、やってないんだけどね、昔は泊まりっていうのがあったの。一度、話してみたらどう?」

「わかりました。」

女将さんは、知っている。

私が彼のことを好きなことも。

そして、この旅館を去ったら終わる恋だということも。

私は、彼に話してみることにした。