「…知らないです」

なるべく自然に見えるように否定する。

「そうか。ごめんなさいね、せっかくだからどこかでお茶でもしませんか?とてもお綺麗ですね」

どうみても私の方が歳下。

なのに大人の女性に使うようなお世辞を言ってくる。

ナンパするようなタイプではなさそうなのに。

「…ごめんなさい…帰るとこ」


「じゃあ、連絡先だけでも。」

男から手渡された携帯番号。

軽く会釈してそれを受け取ると早足で逃げた。

さいわい、私が姫だということには気がついてないみたいだけど桜樹の姫を見つけたら姫を使って桜樹に何かしようとしているのだろう。

絶対に捕まるわけにはいかないわ


そう固く決心して眠りについた。