葉月は本を手に取って言った。
「これ…」
葉月が見せた本の表紙には「赤ちゃんの名前」。
「おじいちゃんとおばあちゃんに付けてもらおうかなーって」
「…っ」
「鈴夏ちゃんと一緒に…この子の名前…付けてくれますか?」
改まった葉月に、俺はまた涙を流しながら何度も頷いた。
葉月は、もー、と言いながらまた涙を拭ってくれた。
ーコンコン
「はははっ…。お取り込み中悪いねぇ」
「真琴!!久しぶり〜!」
「なに、泣いてんのか、風翔」
「う、うるさい」
いつも通り、スーツを着こなした真琴がニヤニヤと笑いながら立っていた。
「葉月、どうだ?リハビリ。順調?」
「うーん…なかなか歩けなくて…」
「そうか…」
「悪阻とかは?」
「うーん。そっちもまだ微妙なの。今もちょっと気持ち悪くて」
葉月はお腹に手を当てた。
真琴は「幸せな事だな」と言いながら、俺の隣に座った。
ベッドに男2人と未成年1人はやばいって。
ーコンコン
「「こんちわー」」
次に入ってきたのは、大きな袋を大量に抱えている愛二と、龍馬。
その後から、何も持っていない詩音と薫と若葉。
「葉月ちゃん、こんにちわ。体調どんな感じ?」