「心臓っ?腹痛い?頭っ?」



「落ち着いて…大丈夫だから」





冬乃さんは財布、携帯だけを持って私のところに来た。


「皐月ちゃん、11階に佐伯って人がいるから車出し頼む!って言ってきてくれる?」


「は、はい!」







皐月は心配気に私を見て、走っていった。


「…っ」

「吐きそうっ?!」





急に吐き気が襲ってきて、私は前かがみになった。
冬乃さんは私の背中をさすってくれる。






「きも…ちわる…っ」





もう吐けるものなんてないのに、吐き気がくる。

冬乃さんは着物から私服に変わっていた。



さっき、汚しちゃったからかな…。


申し訳ないと思っていると、冬乃さんは私を背中に乗せた。






私をおぶったままエレベーターに乗って、下に降りた。



「葉月!」