図書館と同じ家庭科棟なのに授業以外では来ることのなかった、家庭科室の扉を開けるとそこには大人びた綺麗な人がいた。

「須藤さんかな?」

『はい。』

「初めまして。
家庭科部へようこそ。」

「部長の汐見茉莉花です。
よろしくね。」

差し出された手に触れると先輩は笑顔を向けてくれた。

ふわっとした笑顔が花のようだ。

「茉莉花先輩~。」

少し遅れて紗智がやってきた。

「あのねっ、ゆずちゃん。」

「この人が部長の茉莉花先輩だよ~。」

「紗智ちゃん、今自己紹介した所よ。」

潮見先輩はクスっと笑う。

「基本的に活動は自由なの。」

「お菓子作りしたり編み物したり。
皆、好きなことしてる。」

「一つだけ共通してるのは好きな人の為にやってるってトコかな。」

「だから家庭科部というより恋愛部って感じかも。」

「茉莉花先輩、こないだの続き教えて~。」

紗智は鞄から毛糸を取り出した。

「こら。
まだ話の途中なんだから。」

軽く紗智を諫めると汐見先輩は話を続けた。

「今日は・・・もし良かったら私とタルトを一緒に焼かない?」

「良いんですか?」

「もちろん。」

「えー、ゆずちゃんだけずるいっ。」

「茉莉花先輩、紗智も仲間に入れて~。」

結局、三人でタルト作りをする事になった。