ラッキーなことに二時間目には間に合った

一時間目はダメだったけれど。

体育ってのは
着替えないといけないのがめんどうだ。
時間に間に合うかわからなかったから、とにかく急いだ
教室にったらみんなもう移動しているみたいで誰もいなかった

急いだ



「・・・はあ」

よりによってサッカーかよ
チーム戦とか無理だ

クラスメイトの名前すら覚えていない


同中の友達と呼べる奴は全員別のクラス


「おい、お前、名前は?」
はぶりものにされそうだったので「サボるか」と思っていたのにびっくりすることに声をかけられた

「葵」


「・・・それ、上の名前?」

「いや、下の名前」


性のほうではなく名のほうで答えたことに驚いたような表情を見せた。


「普通名字で言うだろ」


(普通じゃないのか俺は)


「名字、嫌いなんだ」

「ふーん」

俺は両親が死んでから名字が嫌いだ。
親がいない中で呼ばれる名ほど心に刺さるものはない

だってそうだろう?
死んだことを思い出して、逢いたくなったら困るだろ

「俺。守羅(しゅら)。」

俺なんかに話しかけてきたもの好きな奴の名前は守羅っていうらしい

「変な名前だよな、漫画の中の名前かよ?みたいな。
親が漫画すげぇ好きでさ、その影響だよ。ほんと困ったものだよな」


(俺何も聞いていないんだけどな)

「お前も下の名前で名乗ってるじゃないか」

「葵が下の名前で名乗ってきたからだよ」

(はあ、めんどくせえ)
もう呼び捨てで呼んでいるし

「それに、俺は俺の名前が案外好きなんだ」

守羅は「あはは」と笑った
太陽に似合ういい笑顔だった
いい笑顔って正直どういうものかわからない
なんていったらいい笑顔って言えるのかわからないけれど
俺はいい笑顔だと思った