直くんは楽しげに鼻唄まじりで予約しておいたお店へ向かう。
その後ろをどよよ~んとした気持ちでついていく私。
うん、こんなツレと一緒だなんて思われたくないんだよ……。
はぁ~。
どこまでも失礼な私が連れてきてもらったのは
この界隈じゃワリと高級なステーキハウス。
うひょお。
うん、お店に来たらやっぱりテンションあがるわ!
うん、肉堪能はしっかりさせてもらうし!
うん、もちろん直くんのおごりっしょ。
フフフ。
「あ、緊張ほぐれたカンジ?」
ん?
席についてメニューを自分でもわかるくらいニタニタしながら見てたら、
ふいにそんな言葉をかけられた。
キョトンとして見返す。
「いや、俺と久しぶりに会って緊張してるっぽかったからさー」
ニヤニヤしてやがる!
うん、ある意味めちゃめちゃ緊張したし。
ある意味ね、ある意味……。
あー、牛さん味わったらとっとと帰るべ!