「それ、やめ───」
そう言ったとき、運良く女の子たちの声が聞こえてホッとした。
さすがに人前ではやめてくれるだろう。
……と、そう思ったのに。
「止めてやんねーよ」
グイッと肩を抱かれ、生い茂る木々の方へと連れ込まれた。
幸いなことにそんなに雑草は生えていなくて、多少足場は悪くてもなんとか歩くことは出来た。
「リョ────」
「聞こえんぞ」
「っ、」
そう言うや否や首筋を舐められて、言葉が詰まってしまう。
文句を言いたいのに、すぐ近くに女の子たちがいるせいでそれも出来なくて。
彼女たちが通り過ぎて行くまでリョウのされるがままになってしまう。
「……っ、もう最悪!」
「サイコーの間違いだろ?」
「し、知らないっ!」
足の力が抜けて、リョウに支えられている私。
もう恥ずかしすぎて死にそう!
「歩けねーんなら姫抱っこでもしてやろーか」
「いいです!歩けます!」
「ならもっとしてやるよ」
「ちょ、リョウ、無理!」
お母さん、キス魔なリョウをどうにかしてください!!
ショートストーリー『その後の二人』【END】