「これから……お母さんの分も、リョウのこと、愛していきます」



ずっとずっと。

何年経ってもリョウのことを愛していきます。

お母さんの分まで。ずっと。




「お母さん……リョウと出逢わせてくれてありがとうございます。お母さんがいたから……リョウのこと、好きになれました」



お母さんがリョウを産んでくれたから出逢うことが出来た。

お母さんがいなかったから……お母さんとお父さんがいなかったらリョウと出逢うことはなかった。



「リョウと出逢えて幸せです。

これから二人で、幸せになります」



最後は、不思議と声が震えなかった。

あんなに流れていた涙も、伝えている間は止まっていて。


まるで私が伝えるのを誰かが手伝ってくれたみたいだった。



「あやの……」


リョウの左手が私の右頬をそっと包み込む。


温かかった。

お母さんと同じ温かさを感じた。


それが何だか嬉しくて、自然と笑みが零れる。



「リョウ────」


と、そう小さく零したとき、ガラッとドアが開く音がして。


リョウと二人、同時に振り返れば、


「親父……」


ドアの所に立っていたのは、リョウのお父さんだった。