「あやの……」
頭を下げた私を、リョウがそっと引き寄せてくる。
リョウ……
私を呼ぶリョウの声が少し震えているような気がして、きゅぅと胸が締め付けられた。
リョウはそれ以上何も言わなかったけど、私を引き寄せる力が強くなって。
それがまるで“ありがとう”って言っているように感じて……
「……うん」
リョウの服を握りしめて、そっと体を寄せた。
「───リョウが良いのなら構わない」
「っ、」
不意に投げかけられたその言葉に思わずリョウと顔を見合わせる。
リョウもOKを貰えるとは思ってなかったみたいで目を見開いて驚いていて。
「あ、ありがとうございます!」
もう一度お父さんに向かって勢いよく頭を下げる。
良かった。
本当に良かった。一緒に行けて。
お母さんもきっと喜んでくれると思う。
それから私達は、早々と車に乗り込んでお母さん入院している病院へと急いだ。
お父さんは部下に指示する事があるらしく、後から追いかけてくるらしい。