「あやの────」
「リョウ!!早く病院へ行け!!」
リョウが私の手を握ったのとほぼ同時にナギサくんからそう投げかけられて、ハッとした。
「っ、そうだ!リョウ!早く病院行かなきゃ!」
一番大事な事を思い出して、慌てて立ち上がる。
「リョウ、私のことは気にしないで。連絡は落ち着いたらでいいから」
今は私のことよりお母さんのことだけ考えてほしい。
「何言ってる。お前も一緒に行くぞ」
「えっ!?ちょ……」
グイッと手を引かれたか思えば腰を引き寄せられて、半ば無理矢理連れて行かれる。
小走りで歩きながら振り返れば、ちょうど侑真と目が合って、まるで了承するかのように頷かれた。
……本当に私も着いて行っていいの?
そう思った時、唯一の出入口であるドアが開いた。
そこから姿を現したのは、数人の男の人達。
「っ、何でここに……」
その人達が室内に足を踏み入れた瞬間、あんなにも叫び倒していたリナさんの声がピタリと止んで、同時にリョウの足もその場に止まった。
え……? あの人って、確かリョウの……