って、喜ぶのはまだ早い。

私は二人同時に倒れたのを確認した後、素早く起き上がって地面を蹴り上げた。


向かうのは、もちろんリョウの元。



「止めなさい!!」



そう叫ぶリナさんの声が室内一杯に響いたけれど、すでに遅く。



「リョウ!!リョウ……っ!!」


先に私の元へと走って来ていたリョウと抱き合うのに、そんなに時間はかからなかった。



「あやの……」



男達に捕まるかもしれないなんて、もう頭の片隅にもなくて。

リョウに触れた瞬間涙がボロボロと零れ落ちて、その存在を確かめるかのように力いっぱい抱きしめた。

リョウも同じ気持ちなのか、体が反るほど強く抱きしめてくる。







「っ、やだ!!離れなさいよ……!!リョウ……!!っちょ、離してってば……!!」




リナ、さん……?


最後の言葉は明らかに私たちに向けてのものじゃなかった。


そっとリョウから手を離して振り向いてみると────



「えっ!?侑真!?」


視線の先にいたのは侑真で。


というか、周囲を見回すと、侑真だけじゃなく、他の幹部やナギサくん、イズルくんまで勢揃いしていた。