「リナさん!!」

「っ、」



そう思いきり叫んだ時だった。


リナさんに向けて叫んだ筈なのに、反応したのはリナさんではなくリョウで。


リョウは何故か険しい顔でこちらを見ていた。

けど、一向に視線が合わない。




どこを見ているの?


────と、そう思った次の瞬間、



「えっ!?」



リョウの目がわずかに見開いたかと思えば急に体を起こして、


「うわっ……!」

「なっ!?」


組み敷いていた左右の男二人を、腕で真後ろへと押し倒した。


それは本当に一瞬の出来事で。


真正面にいる私だから反応出来たけど、俯いていたリナさんも、倒された男達でさえも何が起きたのか理解出来ていないようだった。


そのお陰で生まれた一瞬の隙。

私はそれを見逃さなかった。



「っ、うっ、」

「な……っ」


力が緩んだ隙に思いきり腕を振り払い、腕が解放されたところで素早く体を半回転。


その反動でそこにいるのかも分からない男目がけて適当に左足を振り回せば、ラッキーな事にどこかに命中し、そのまま倒れてしまった。


しかも、倒れた方向にもう一人の男がいたものだからダブルラッキー。