リョウの為に、お母さんの為に、絶対にリナさんを説得しなきゃいけない。



「リナさん!!お願いだからリョウを離して!!お母さんの元へ行かせてあげて下さい!!リナさん!!」



何度も叫ぶけど、リナさんは地面を見つめたままで何の反応もしなかった。

けど、思い詰めた横顔をしている所を見ると、心の中で葛藤しているのだろう。



あと少し。

あと少しで説得出来る。

リョウとお母さんを会わせてあげられる。



「リナさん!!お願いします!!」



お願いだから、離してあげて────



そう心の中で強く願ったけど、



「……私だって、今しかないの」


「っ、リナさん……!!」



返ってきた返事は求めていたものではなかった。


それでも、どうしても諦める事が出来なくて、何度も何度もリナさんに向かって叫び続ける。



「お願いです!!お願いだから────!!」



リョウを離して……!!



もう同じ言葉しか出てこなかった。


語彙力が失われるほど頭の中はいっぱいいっぱいで。

今すぐリョウに駆け寄ってお母さんの元へ連れて行きたいのに、拘束されている状態じゃどうする事も出来ない。