何より今は、リョウにお母さんを会わせてあげる事の方が先決だ。
こうしてる今も、お母さんはリョウが来るのを待っているのだから。
「リナさん、お願いです。話なら後でいくらでも聞きます。だから、リョウとお母さんを会わせてあげて下さい!お願いだから……!」
私の言葉を聞いて、リナさんはお母さんの存在を思い出したらしい。
ハッと顔を上げたリナさんは、私ではなくリョウを見つめ、口を真一文字に結んだ。
けど、リョウの視線はリナさんではなく私に向けられていて……
「……母さんに会わせる? あやの、それは一体どういう……」
と、そこまで言ったリョウの目が、次の瞬間大きく見開かれた。
「っ、リョウ……っ」
勘のいいリョウは気付いたのだろう。
お母さんが危篤だということを。
「リョウ……リョウ……っ!」
あまりのショックに俯いてしまったリョウ。
同じ目線にいるせいで顔が見えなくて。
それでもショックを受けているって事は分かった。
当たり前だ。お母さんが危篤だなんて、そんなのショックを受けるに決まってる。