「っ、リョウ……?」
私の心の声を遮ったのはリョウだった。
リナさんからリョウに視線を移せば、私と同じようにうつ伏せの体勢のままこっちを見ていて、
目が合うと、リョウは首を小さく横に振った。
「あやののせいじゃない。俺が諦められなかっただけだ。どうしても手に入れたかった。アイツには渡したくなか────」
「やめてっ!!」
リナさんが大きくかぶりを振りながら、リョウを制止する。
その瞳には涙が浮かんでいて、今にも零れ落ちそうだった。
「やめてよっ!!そんなの聞きたくない!!リョウは私と……私と結婚するんだから!!」
「……」
「っ、」
リナさんの必死な訴えにもリョウの表情は一切変わる事はなく、ただ真っ直ぐリナさんを見据えている。
そんなリョウにリナさんは何も言えなくなったみたいで、グッと唇を噛み締めながら俯いてしまった。
「……」
必死に涙を堪える姿を見て、何も言えなくなってしまう。
リョウは私のせいではないと言うけれど、私がいなかったらリョウと結婚出来ていたのは事実だから。
でも、だからと言って、無理矢理結婚を迫るのは違うと思う。