「テメェら、今すぐあやのを離せ!!」
「っ、リョウ……!!」
私の元へと駆け出したリョウに、数人の男達が襲いかかる。
その男達は、さっきまでリナさんの背後に控えていた人達で……
「リョウ!逃げて……!!」
目の前に迫っているのを見てそう叫ぶけど、すでに手遅れだった。
どう頑張ってもあんなにフラフラな状態では逃げられそうにない。
リョウがボロボロなのはここに来て抵抗したせいだろうけど、それでもフラフラに動けなくなるほど重傷にも見えなくて。
多分、拉致された時に薬か何かを嗅がされたんだと思う。
いくら車内で逃げられないといっても、リョウは次期若頭候補だった人。大人しくしているわけが無い。
だから薬を使ったんだと思う。
完全に大人しくなるように。
「リナさん!やめさせて!お願いだから!!」
私と同じように────ううん、私よりも乱暴に男数人によって組み敷かれたリョウ。
容赦ないその扱いに、なんで、って思った。
リナさんだってリョウの事が好きなのに、なんでこんな扱いが出来るんだろうって。
薬で弱らせて、傷を負わせて。
リョウの事が好きなのに、どうしてそんな酷い事が出来るの?