「っ」
案の定、彼女は知っていたようで、私がそう告げた途端、その強気な表情に動揺の色が浮かんだ。
今の彼女なら、このまま畳みかければリョウを解放してくれるかもしれない。
そう思って口を開こうとした時───
「っ、な、なに……!?」
突然ドンッと何かがぶつかるような音がして、この場にいた全員がその音に過剰に反応した。
次の瞬間、ハッと顔色を変えたリナさん。
かと思ったら勢いよく振り向いて、何かをジッと見つめている。
つられて同じように振り向くと、視線の先にあったのは一つの古びた扉で……
あそこから、音がしてる……?
物音一つしなさそうに見える錆びれた扉の向こうから、かすかに音が聞こえる。
ううん音だけじゃない。
ハッキリとは分からないけれど、誰かが喋ってるような────
とそう思って耳を澄ませたとき、
「どけ!!」
耳に飛び込んできたのは、切羽詰まったリョウの声。
一瞬聞き間違いかと思ったけど、脳内で再生された声は間違いなくリョウ声で。
「リョウ……!!」
すぐさまリョウの名を叫んで自分が来たことを知らせた。