「っ、」
目が合った途端、両脇にいた男に背中を押され、前のめりに室内に飛び込む私。
慌てて受け身を取るけれど、咄嗟のことすぎて上手くいかず、結局手のひらを擦りむいてしまった。
正直男の人たちに腹は立ったけど、それよりもリョウの方が気になって、すぐさま体勢を整えて室内を見回した。
けれど、リョウの姿はどこにも見当たらない。
もしかして、リョウはここにいないの……?
もしそうだとしたら最悪だ。
リナさんと一緒にいるとばかり思っていたから、いない場合の事は考えていなかった。
早くお母さんの事を伝えられなきゃいけないのに……
「リョウは!? リョウはどこですか!?」
私を捕らえる理由は何となく分かるけれど、リョウを捕らえる理由が分からない。
絶対に何か理由があるはずなのに。
「やっぱりリョウが目当てでわざと捕まったのね」
「っ、リナさん!リョウはどこにいるんですか!?会わせて下さい!お願いします!伝えなきゃいけない事があるんです!私は捕まったままでいいからリョウだけは解放して下さい!お願いします!」
力の限りそう訴えるけれど、いくら言葉を並べたところでリナさんの顔色は変わらなかった。
リナさんからすれば、逃げたい一心の訴えとしか思えないのだろう。