***



「降りろ」



倉庫から10分もしない間に車が停車したかと思えば、乱暴に車から降ろされて。

逃げ出すつもりなんてないのに、ご丁寧に両脇を固められ、まるで容疑者のような扱いをされた。

しかも、通行人の視線が突き刺さってものすごく居心地が悪いし、ほんと最悪な気分。






────あれから。

私は倉庫に着くなり、周辺を見張っていた男たちの元へと向かった。


男たちは拉致対象である私が自らやってくるなんて思ってもいなかったのか、最初は驚いていて。


けど、すぐに冷静に戻り、誰かに連絡を取り始めた。


電話を切ったかと思えば、何の言葉もかけることなく無理矢理車に押し込まれて。

その様子を侑真たちは心配そうに見ていたけれど、当事者である私は思っていたよりも冷静だった。


すぐに侑真たちが追いかけて来てくれることも分かっていたし、ナギサくんも別ルートで追いかけてくれることも分かっていたから。