『今からそっちに人を送る。だからあんたらはどっかに身を隠してて。あと、もしリョウから連絡が来たらすぐに電話して』

「は、はい」

『じゃあ』

「ちょっと待って下さい……!」



電話を切ろうとしたナギサくんを慌てて引き止める。



「何か分かったら私にも教えて下さい!リョウこことも、お母さんのことも」

『……分かった』


小さな返事の後、静かに通話が切れた。



「……あやの!」


途端に全身の力が抜け落ちてしまい、侑真に寄りかかる。



「侑真……リョウが……お母さんが……」



二人同時にこんなことになるだなんて……

リョウ、あんなにもお母さんのことを気遣っていたのに……

何もこんな時に危篤なんて……



「あやの、リョウならきっと大丈夫だ」

「そう、だよね……」



笑いかけてくれたお母さんの笑顔やリョウのお母さんへの想いが脳裏を駆け巡って、勝手に涙が溢れてくる。


リョウの為に何かしたいのに何も出来ない自分が歯がゆくて。

いつも護られてばかりの自分に嫌気がさす。


私がリンちゃんみたいに強かったら……そうしたらリョウの元へ行くことも躊躇わないのに。


……って、


「……リョウの、元?」