「……え?」



リョウが連れ去られた?



「はぁ!?アイツが連れ去られた!?んなことあんのかよ!?」



瑠衣がそう言ってしまうのも仕方ないと思う。だって、リョウとはつい数分前に喋ったばかりなのだから。



「ゆ、侑真……」



狙われているのは私だけかと思っていた。

まさかリョウまで狙われていたなんて……



お母さんの事とリョウの事が一気に押し寄せてきて、完全にキャパオーバー。



『今、リョウが乗るはずだった車の運転手が、リョウが違う車に乗り込んだと知らせにきた』

『違う車!?』



電話の向こうで話している二人も私たちと同じく動揺しているようだった。

すぐ近くで拐われてしまったのだから当然だろう。



「ナギサくん、」

『え?誰?』

『……緋月に電話してた』

『あぁ!リョウの彼女ちゃんね!』



か、彼女ちゃん……


もしかして、ナギサくんと一緒にいるのはイズルくん?




『とりあえずリョウは俺らが捜し出す。そっちの黒服っていうのは例のヤツらのことだよね?』

「た、多分そうです」



ナギサくんの言う“例のヤツら”と、私が思ってる“彼女”が一致してるのかは分からないけれど、リナさんのことは二人も知っているだろうと思って肯定しておいた。