「……俺もそう考えてた。けど、相手は蓮見組を抜けた連中だ。逆上してくる可能性もある」
「……確かにそうだよね」
他の人ならまだしも、リョウは嘉波組の悪事をバラした、言わば敵だ。
この襲撃にリナさんだけじゃなく父親も絡んでるとしたら、私よりもリョウの方が危険かもしれない。
「じゃあどうすれば……」
「とりあえずもう一度リョウに連絡して───」
と、そう言った所で、急に侑真の携帯の画面が切り替わった。
よく見ると、どうやらキャッチが入ったみたいで……って、
「……え? ナギサ、くん……?」
画面に表示されているのは確かにナギサくんの名前だった。
緋月のメンバーに“ナギサ”という名前の子はいないから、Zeusのナギサくんで間違いない。
念のため私と侑真と番号は交換していたけれど、彼の性格上、余程のことがない限り連絡してくる事はないだろうと思っていたのに……
って、もしかして、その“余程のこと”があった……とか?
「侑真……」
「あぁ。────颯太、かけ直すから待っててくれ」
そう言った侑真は手早く応答ボタンを押し、ナギサくんからの着信に出た。