同じ顔で苦痛に顔を歪ませる。
日向と私を見てる陽菜の目は、悲しそうだった。
私、日向と陽菜が付き合ってたなんて、知らなかった。
知らないとは言え人前でキスするなんて、最低だった。
陽菜…………ごめん。
「幸せになってね、陽菜」
空を見上げ、泣き続けた。
後何回涙を流したら、忘れよう。
忘れるんだ。
「大丈夫?祭。ごめんね」
大きな瞳に涙を溜めた祭。
普段は強い祭から想像できない涙。
「陽菜は大丈夫なの?
先輩のこと好きなんでしょう?」
祭の言葉に首を振る。
「ううん、私は……………「陽菜‼」
汗だくで飛び混んできたのは、紛れもなく先輩で。
久しぶりの温もり。
私は先輩に、抱き締められていた。
「何やってんだよ、触んな‼陽菜は、俺の女だ。お前なんて昔の女のとこ帰ってろ」
廉くん、先輩だから相手。
「先輩、ごめんなさい。私もう……「俺、陽菜が好きだ」
えっ…………?彩未は?
「先輩、彩未は?」
「彩未に背中を押された。
俺は、陽菜が好きだ。
もう絶対離さない」
私は先輩に抱き締められた。
止めに入る廉くんの必死な顔で、我に変える。
「先輩、私先輩が好きです。
けど、もっと大切な子がいるの。その子の涙は見たくない。
それに、私…廉くんが好きになりました。
ごめんなさい。」
嘘偽りなんてない。
「好きになってくれてありがとう。」
私は冷たいと言われてる先輩に、恋をした。
チャラチャラしてなくて、どんな告白も受け入れない先輩。
常に人に厳しくて、そんな冷たい先輩に恋をしました。
先輩と少しでも、付き合えて幸せだった。
だけど、気持ち受け取れなかった。
「陽菜…………」
郡先輩の腕が離れていく。
そして、違う温もりが私を包んだ。
優しい君に、触れられて心が落ち着く。
「陽菜、今の本当?」
信じられない、と言った表情の廉くん。
「うん、廉くん。
大好き」
「先輩、彩未とのこと考えてください。
少しだけでも」
わかった、と脱落したように歩いてく先輩に、頑張れ、と小さく囁いた。
「日向‼どうしたの?なんか、暗いよ」
背の高い日向が、背中を丸めて泣いていた。
「日向?どうしたの?」
泣いてる………?
陽菜に、気持ち伝えたの?
どうなったの?
なんで、泣いてるの?
言いたい。
「ちょっと待ってて!!」
私は泣いてる日向を置いて陽菜の教室へ急ぐ。
「陽菜‼」
同じ顔をした彩未が私を手招きする。
「何‥‥?」
「日向となんかあったの?」
「ごめん、私は先輩とは付き合えない。
先輩は、彩未が大切にしてあげて。大丈夫、彩未なら大丈夫」
何が大丈夫なのか。
私は陽菜に何も言えなかった。
男関係で、陽菜と気まずくなるのも嫌だった。
双子で、ドロドロなんてシャレになんない。
「日向………大丈夫?」
私の掛けた声に日向は、立ち上がると私を見下ろす。
何よ、と、軽く睨む。
「友達から始めて見ようか」
なんだそれ、と笑った。
日向も、笑った。
"大丈夫、彩未なら、大丈夫"
その言葉が、リピートされる。
私は日向の手を握った。
握り返す恋人繋ぎ。
「あっ、見て見て陽菜ちゃん笑ってるよ‼可愛い」
「亀井くんと付き合って元気になったよね」
そんな噂されるぐらい、私達は噂の的。
廉くんの差し出す手を握った。
そして、恋人繋ぎ。
いつまでも、貴方を想ってます。
私の初恋。
冷たい先輩に恋をしました。。end。。
☆あとがき☆
長編を書きたかったけど、短編にエントリーしてみたくて、急いで書きました。
よかったら、読んでください。