あ……。
もしかして、あたしを待っててくれてたの?
前を行く4人の姿は、もうかなり小さい。
行かなきゃ。
このままじゃ置いてかれちゃう。
「う、ううん。なんでもない……」
また笑顔を張り付けて、歩幅を早めた。
背後にいる笹本くんが気になって仕方ないけど……あたしのことなんて見てるわけないよね。
同じように歩幅を速めた青山くんが、ボソッと話しかけてくる。
「なあ、侑汰が強引に誘ったみたいだけど、もしかして、カラオケとか気分じゃなかった?」
「あ、えーっと……」
積極的な否定が出来ないでいると。
「実は俺も」
「え?」
「これでも一応風邪ひいてるしな。ゴホッ……」