「ってことで、戻るわ」
「あのっ、あたしのスマホは……」
青山くんの手には、ずっとあたしのスマホが握られている。
返してくれる……んだよね……?
「俺のが返ってくるまで、これ人質な」
「え!?」
「今日一日没収されてんだろ?じゃあ、放課後昇降口で受け渡しってことで」
青山くんはそんな言葉を残すと、先を行くふたりを追うように、廊下の向こうへと走って行ってしまった。
うそっ……。
うそでしょ……!?
笹本くんからの返事が気になって仕方ないのに。
放課後までおあずけ……?
そんなあ……。
そりゃあ、没収されたのはあたしが悪いけど……。
青山くん、なんて自己中な人……。
朝からとんでもないドタバタ劇に、もう帰りたくなってしまうほどあたしは疲れ切っていた。