「ねっ、青山くんから連絡あった?」
翌日。
あたしの顔を見るなりそう尋ねてくる杏ちゃん。
「……ううん」
……はぁ。
首を横に振るあたしは気が重くて仕方ない。
ただ、スマホを元に戻して終わり……な話じゃなくなった気がするから……。
「でも、さすがに気づいてるだろうし、きっと向こうから花恋を探してスマホ取り戻しにくるよねっ」
今にもスキップでもしそうな勢いの杏ちゃん。
「……どうしてそんなに楽しそうなの?」
あたしは寝不足の上に、頭まで痛いのに。
カバンを置くと、あたしは廊下に出て窓側の壁に力なく背をつけた。
追いかけてきた杏ちゃんは、相変わらずのテンションで。
「だぁって、翔って名前から絶対にカッコいいって想像出来るんだもーんっ」
……はあ。
ほんと他人事だよね。