スマホをなくすって、お財布を落とすより怖いかも。
だって、個人情報が駄々漏れだもん。
好きな人の話をしたり、ウワサ話だったり。
誰かに見られる前提なんてまったく考えずに会話してるし。
そして、そして。
現実問題なにが怖いって。
笹本くんにメッセージを送った直後だったし、もしかしたら返事が来てるかもしれないんだから。
それを青山くんて人に見られてたら……!
考えただけでも、体が燃えるように熱くなってくる。
「出ないよー」
ふわふわの髪を指に巻きつけながら、杏ちゃんが唇を尖らせる。
「……そんなあ」