「朋美っ……」



体をゆすって、何とかその手を離してからもう一度中庭に目を向けたが……。


既に花恋の姿はなかった。


……っ。



「……翔……あたしじゃ、ダメ……?」


「えっ?……あっ……」



涙を溜めためで、朋美は俺を見上げるが……。


花恋が気になって仕方ねえ。


でも、目の前の朋美をこのまま放っておいてもいいのか……?


そんな優柔不断な気持ちで、足を動かすことも出来ず……。



「ゴメン……俺、彼女出来たんだよ……」



今は、目の前の朋美と向き合った。



「え、ウソ……」



やっぱり。

朋美も知らなかったんだな。