「何か飲むか……」
お金を入れて、ボーっと自販機を眺めて目に入ったのは。
「ヤベ……」
好きでもないのに、押してしまったのはミルクティーだった。
花恋が好きで、よく飲んでるやつ。
はぁぁ……俺なんかしたかな……。
窓から注ぐ太陽は、恨めしいくらいに燦々と俺を照らしていた。
◇
長い校長の話が終わり、終業式を終えた。
「だっるー、今から大掃除かよ~」
掃いてるんだか汚してるんだかわからない箒を動かしている侑汰の声に、俺はあることを思いだした。
そうだ。
第二音楽室に呼ばれてんだ……。
「俺、ちょっと用があるから」
侑汰にそう告げると、「さぼりかよ~」なんて声が聞こえてきたが、俺はそのまま無視して、2階の第二音楽室まで向かった。