ちょうどコイツ、俺に用があったのか?
やけにもじもじしているが、俺はイラついていたこともあってぶっきら棒に返してしまう。
「話があるんで、終業式が終わったら、第二音楽室まで来てもらえませんか?」
「…………ああ」
そう軽く返事をすると、彼女は身を翻して行ってしまった。
なんだよ、呼び出しかよ。
面倒くせえな……。
俺はため息を吐きながら、そのまま自販機までやって来た。
故障中だった自販機はもう直っている。
……ここへ来ると思いだす。
セッキーから逃げた昼休みもそうだし、俺らがつき合うきっかけとなったあの日もそうだ。
全部いい思い出なのに。
今の状況を考えたら、胸がギュッと鷲掴みされるように痛くなった。