基本忘れ物をしないあたしは、翔くんに借りに行くこともなかったけど……。


翔くんも借りに来ないから、忘れ物はしないタイプなのかなってちょっと思ってたのに。


まさか、朋美ちゃんに借りているとは……。



「いいじゃねーか、貸してくれよ」



笑いながら、朋美ちゃんと向き合っている翔くん。



「えー。じゃあ頭ポンポンしてくれたら貸してあげるー」


「はあ?ガキかよー」



次の瞬間。


翔くんの手は、朋美ちゃんの頭の上に。


リクエスト通り、ポンポンと、2、3回優しく触れたのだ。



「……っ!!!」



やだ。

なんで……?


翔くんは、朋美ちゃんをただの幼馴染みとして見ているかもしれないけど。